平成13年度前半
該当なし
平成13年度後半
(この問題意味不明。。。)
13.上皮性の硝子変性はどれか。
a.外傷性の瘢痕の硝子化
b.アルコール性肝障書に見られるマロニー小体
c.塵肺結節に見られる硝子化
d.糖尿病の際に見られるランゲルハンス氏島の硝子変性○
e.高血圧性細動脈硬化症の硝子変性
14.フィブリノイド変性を来たし易い疾患はどれか。
a.急性カタル性虫垂炎
b.肺結核
c.痛風
d.慢性関節リウマチ○
e.大動脈粥状硬化症
<解説>
結合組織にフィブリノイド変性という共通した病理組織学的所見を有する疾患群を膠原病という。
膠原病には、関節リウマチ,全身性エリテマトーデス,全身性硬化症,多発性筋炎・皮膚筋炎, 結節性多発動脈炎,リウマチ熱などがある。
15.梗塞の結果、融解壊死を来たす臓器はどれか。
a.脳○
b.心臓
c.肺
d.腎臓
e.脾臓
<解説>
脂肪成分が多くタンパク成分の比較的少ない組織では、タンパク質の分解が進むため細胞や組織は融解する。脳梗塞において、典型的な融解壊死をみる。
16.次のうち、萎縮の例として誤りはどれか。
a.老人の脳
b.閉経後の卵巣
c.ギプス固定された骨格筋
d.高血圧症の心臓○
e.水腎症の腎臓
<解説>
萎縮とは組織を元々構成している細胞の数的減少や容積の減少により組織の大きさが減少する現象である。
ホルモン依存性の組織である子宮内膜や乳腺では、閉経後、エストロゲン濃度の低下により萎縮をきたす。病気で長期臥床した患者では骨格筋の萎縮がおき、廃用萎縮と呼ばれる。慢性の胃炎に伴って胃の腺組織の構成細胞が数的に減少し萎縮する場合、萎縮性胃炎と呼ばれる。
萎縮の原因としては、その他に血流の低下,機械的圧迫,低栄養,老化などがある。
58.腫瘍について誤りはどれか。
a.細胞の自律的増殖である。
b.細胞の無目的な増殖である。
c.細胞の退行性の増殖である。○
d.細胞の周囲組織と無関係な増殖である。
e.細胞の宿主に対する寄生的増殖である。
(解説)腫瘍とは、細胞が自律的、無秩序、無目的に過剰形成してできた細胞の塊で正常細胞と比較して増殖が速く、正常細胞との協調を欠いている。また、腫瘍は寄生虫のように振る舞い、代謝に必要な物質を正常の細胞や組織との間で奪い合いをする。
59.誤りはどれか。
a.腫瘍の実質は腫瘍細胞のことである。
b.腫瘍の間質には血管、結合織が認められる。
c.悪性上皮性腫瘍では癌胞巣が認められる。
d.肉腫では実質と間質の区別が明瞭である。○
e.上皮は基底膜上に並ぶ性質がある。
(解説)腫瘍の実質は、腫瘍細胞そのもので間質は、血管、結合組織、線維芽細胞からなり、実質を支持し、栄養を補給している。悪性上皮性腫瘍は癌腫といい、肉腫とちがい癌胞巣をつくる。上皮は細胞間の接着能を持つので基底膜上に並ぶ。
60.次の各組織と発生頻度の高い腫瘍の組織型の組み合わせで適切なものはどれか。
a.食道‐腺癌
b.胃‐重層扁平上皮癌
c.子宮頚部‐腺癌
d.子官体部‐移行上皮癌
e.膀胱‐移行上皮癌○
(解説)食道は重層扁平上皮癌、胃は腺上皮癌、子宮頚部は扁平上皮癌、子宮体部は非上皮性で筋腫、膀胱は移行上皮癌。ほかに腎盂や尿管も移行上皮癌。
61.良性腫瘍の特徴のうち、正しいのはどれか。
a.転移をする。
b.異型が強い。
c.浸潤性発育。
d.被膜がない。
e.核分裂がない。○
(解説)良性腫瘍の特徴は宿主への影響が一般的になく、発育速度は遅い。発育様式は浸潤ではなく膨張性で被膜を持つ。転移はなく異型性は弱い。
62.誤りはどれか。
a.高度上皮異形成は前癌病変である。
b.粘膜癌は粘膜固有層に限局する癌である。
c.浸潤癌は基底膜を越えて浸潤を示す癌である。
d.胃の早期胃癌は筋層までの浸潤癌をいう。○
e.子宮頚部の早期癌は微小浸潤癌までをいう。
(解説)早期胃癌は胃周囲のリンパ節への転移の有無にかかわらず、癌が粘膜固有層ないし粘膜下組織に限局しているものを言う。
63.前立腺肥大症の手術をした。摘出された前立腺組織を検索すると前立腺組織内に直径1cmの癌が見つかった。正しいものはどれか。
a.顕性癌
b.早期癌
c.偶発癌○
d.オカルト癌
e.ラテント癌
(解説)
・偶発癌…前立腺肥大症のような手術中に見つかる癌のこと
・ラテント癌…剖検時に見つかる癌のこと
・オカルト癌…骨転移(乳癌、前立腺癌)やリンパ節のような転移先で見つかる癌のこと
64.混合腫瘍はどれか。
a.肝細胞癌
b.絨毛癌
c.腎細胞癌
d.乳腺線維腺腫○
e.母斑
(解説)混合腫瘍とは上皮,非上皮両成分が混在している腫瘍で、他に血管筋脂肪腫がある。
65.肝細胞癌の組織所見として正しいのはどれか
a.腫瘍細胞は粘液産生をする細胞が多い。
b.腫瘍巣内の胆汁鬱滞は必発である。
c.腫瘍巣内の間質に線維化が強い。
d.軟骨・類骨組織が混在することがある。○
e.腫瘍巣は類洞様構造を伴う○。
<解説>
a.腺癌である場合、低分化癌になると粘液産生は伴わなくなってくる。
b.腫瘍巣内に胆汁が鬱滞することは多いが、必ずしもではない。
c.間質に繊維化がみられるのは、慢性炎症の特徴である。
d.骨から肝への癌細胞への転移であれば、軟骨,類骨組織が混在することもありうる。
e.高分化癌であれば、まだ類同様構造を伴う場合もある。
66.慢性肝炎の活動性を示す所見はどれか。
a.グリソン鞘の線維化
b.肝細胞の脂肪変性
c.肝細胞の壊死・炎症反応○
d.中心静脈周囲の線維化
e.胆汁鬱滞
(解説)慢性肝炎で持続する門脈域周囲の肝細胞壊死や架橋形成性壊死は、進行肝障害の前兆で、さらに持続すると線維隔離と再生結節を持った肝硬変へといたる。
慢性肝炎における活動性の炎症反応も、急性肝炎にみられる壊死炎症反応と同じく、リンパ球を主体とする炎症細胞浸潤とそれに伴う肝細胞の壊死が種々の程度にみられる。
C型肝炎では、ウイルスが除去されない限り経過と共に活動性の炎症が持続し、繊維化の進展と共に肝硬変へと進む。
67.急性膵炎について誤りはどれか。
a.成因としてアルコール摂取が重要。
b.膵は萎縮し、硬い。○
c.膵実質に好中球浸潤を伴う壊死がみられる。
d.間質や膵周囲に脂肪壊死が見られる。
e.出血を伴う。
(解説)急性膵炎は主な原因が胆石と飲酒で膵実質の蛋白質分解による崩壊、血管壊死とそれに伴う出血、脂肪分解酵素による脂肪壊死、異常の損傷に伴う炎症反応の4つが基本的変化である。
68.クローン病について正しいものはどれか。
a.肉眼的に病変は連続している。
b.全層性炎症性病変をきたす。○
c.乾酪壊死性類上皮肉芽腫を形成する。
d.好発部位は左側結腸である。
e.下掘れ潰瘍の形成がみられる。
(解説)Crohn病は小腸と大腸を侵し、粘膜の損傷を伴う炎症性過程によって腸管の全層が侵される全層性炎症性病変、40〜60%で見られる非乾酪性肉芽腫および瘻孔形成を伴う裂孔が特徴である。
69.食道癌に関して正しいものはどれか。
a.女性に多い。
b.上大静脈症候群がおこりやすい。○
c.幽門狭窄をきたしやすい。
d.発生部位は胸部下部食道が多い。
e.進行すると膿胸を形成する。
(解説)食道癌は3:1で男に多く、食道中部1/3で多く起きる。びまん性浸潤癌で内腔の狭窄を伴う壁の肥厚と硬化を起こし、腫瘍浸潤の結果によっては上大静脈が閉塞され、上大静脈症候群になることもある。
70.慢性消化性胃潰瘍について誤りはどれか。
a.UL‐Vでは組織欠損が固有筋層に達している。
b.潰瘍縁には雛壁集中像がみられる。
c.幽門前庭部小弩側に好発する。
d.穿孔すると化膿性腹膜炎を引き起こす。
e.潰瘍底には類上皮細胞性肉芽腫がみられる。○
(解説)慢性胃潰瘍は移行部の幽門前庭部小椀側、後壁におおく、1個ないし数個までの円形〜楕円形の粘膜欠損がみられる。潰瘍底は参出層、壊死層、肉芽層、瘢痕層の4つから成り立っている。
71.胃癌について正しいものはどれか。
a.早期癌はリンパ節転移のないものを言う。
b.早期胃癌のUc型は表面陥凹型である。○
c.Borrmann1型には低分化型腺癌が多い。
d.Borrmann3型は瀰漫浸潤型である。
e.Borrmann4型は肝への血行性転移が多い。
(解説)胃癌の早期癌は、癌が粘膜下層までにとどまることをいい、Borrmann分類は1型が腫瘍型、2型は潰瘍限局型、3型は潰瘍浸潤型、4型はびまん浸潤型、5型は分類不能となっている。早期胃癌の肉眼分類はTypeTが隆起型、TypeUはUaが表面隆起型、Ubが表面平坦型、Ucが表面陥没型となっている。
72.大腸癌について誤りはどれか。
a.上行結腸癌は肝に転移しやすい。
b.肛門側に近い部位には扁平上皮癌が発生することがある。
c.横行結腸癌は肺に直接転移しやすい。○
d.下部直腸癌はリンパ節に転移しやすい。
e.大腸癌は大部分が高・中分化型腺癌である。
(解説)大腸癌は、2cmを超えると進行、転移しやすくなる。直接伸展は膀胱、尿管、子宮、卵巣へ。リンパ節転移は所属リンパ節へ。血行性転移は肺と肝臓へとなる。肛門管では腺癌、粘液癌が多く、ほかに扁平上皮癌、腺扁平上皮癌、悪性黒色腫がある。
73.胆嚢癌について正しいものはどれか
a.男性に多い。
b.周囲臓器への転移・浸潤が少ない。
c.初期から黄疸が出現する。
d.肝硬変を合併してることが多い。
e.胆石を合併していることが多い。○
(解説)胆嚢癌は60歳代の女性に多く、50〜60%で胆石を合併しており、20〜30%で膵胆管合流異常を起こしている。腺癌が多く、粘膜筋版、粘膜下層がない進行すれば黄疸は見られるが初期は無症状。
74.膵癌について誤りはどれか。
a.膵頭部に発生しやすい。
b.膵頭部癌は閉塞性黄疸をきたしやすい。
c.膵体・尾部癌は無症状に進行することが多い。
d.膵癌の神経浸潤は少ない。○
e.膵癌は周囲臓器に浸潤しやすい。
(解説)膵癌は頭部に発生しやすく次いで体部、尾部となる。膵頭部癌の場合胆道閉塞から閉塞性黄疸に転移しやすく、体部、尾部の場合、無症状に進行した後、転移が起こって診断される。また膵癌は、腹腔神経叢に神経浸潤、胃、十二指腸、横行結腸などに直接浸潤する。
75.動脈硬化症の病理発生について正しいのはどれか
a.肝臓障害は重要な危険因子である。
b.内膜の肥厚は平滑筋細胞の遊走による。
c.内膜のマクロファージはHDLコレステロールを貪食する。
d.病変の発生には血小板の粘着が必要である。○
e.一酸化窒素NOは病変の修復に重要な因子である。
(解説)動脈硬化は脂質代謝障害,高血圧,高脂血症,喫煙,糖尿病が重要な危険因子で、内皮細胞機能障害、単球の接着から始まり、平滑筋が中膜から内膜への遊出しマクロファージおよび平滑筋細胞の脂質(LDL)取り込みによって動脈硬化となる。ちなみに一酸化窒素はフリーラジカル。
a.肝臓では糖質が代謝される。
b.肥厚した内膜には、コレステロールやマクロファージを含む粥状の変性物が溜まる。
c.内膜をマクロファージが貪食するのは、HDLではなくLDLである。
d.病変の発生には血小板の粘着が必要だという説もある。(傷害反応仮説)
e.一酸化窒素は血小板凝集抑制作用を持ち、抗動脈硬化作用があるが、病変を修復することはできない。
76.肺炎の病態で誤りはどれか。
a.大葉性肺炎では線維素の析出が著しい。
b.気管支肺炎は好中球の浸潤が著しい。
c.肺膿瘍は限局性の好中球の浸潤と壌死である。
d.MRSAは連鎖球菌の感染である。○
e.大葉性肺炎の多くは肺炎球菌の感染による。
(解説)大葉性肺炎は肺葉全体が硬変化しているもので肺炎球菌による。気管支肺炎は硬変化が気管支中心に斑点状に分布しているもの。MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌によるもの。
77.17歳の高校生がバスケットボール中に急死した。剖検により心室中隔の非対称性肥大が見られ、心筋の肥大、錯綜配列が認められた。考えられる疾患はどれか。
a.肥大型心筋症○
b.拡張型心筋症
c.拘束型心筋症
d.2次性心筋症
e.心内膜心筋線維症
(解説)拡張型心筋症は著しい心重量増加と心内腔拡張、心筋細胞の肥大、大小不同が見られる。肥大型は心室壁の不均一肥厚、心内腔の著名な狭小化、心筋繊維の著名な錯綜配列がみられる。拘束性は好中球増多症を伴う心内膜繊維化がみられる。
78.グリア癩痕形成に関与する主な細胞はどれか。
a.シュワン細胞
b.希(乏)突起膠細胞
c.小膠紬胞
d.線維芽細胞
e.星状膠細胞○
<解説>
中枢神経系の組織修復では、繊維芽細胞の代わりにアストログリアが増殖し、繊維性瘢痕ではなく、グリア瘢痕が形成される。
神経組織の傷害に際して、星状膠細胞はよく反応し、細胞の肥大と数の増加,突起の増加と延長が起こる。病変が古くなると、細胞体に比べ繊細な突起のみが目立つ状態となる。これをグリア瘢痕と呼ぶ。
※希突起膠細胞…髄鞘を形成し、維持する膠細胞であり、その変性壊死により髄鞘の崩壊がもたらされる。
※小膠細胞…貪食能をもった細胞であり、神経組織の破壊性病変や脱髄の際に多数出現し、変性した髄鞘などを貪食して、脂肪顆粒細胞になる。中枢神経系における抗原提示細胞としても注目されている。
79.髄鞘の変性と消失が病変の本態をなす疾患はどれか。
a.多発性硬化症○
b.ヘルペス脳炎
c.アルツハイマー病
d.パーキンソン病
e.脳梗塞(軟化)
<解説>
〜各病態の特徴〜
・多発性硬化症…髄鞘の消失
・ヘルペス脳炎…単純ヘルペスウイルスによる。側頭葉,大脳辺縁系が侵されやすい。
・アルツハイマー病…海馬に、老人斑,神経原線維変化
・パーキンソン病…黒質緻密層の細胞の脱色素
・脳梗塞…脳の液化壊死
80.血液脳関門障害が主体をなす病変はどれか。
a.脳腫瘍
b.脳浮腫○
c.アルツハイマー病
d.クロイツフェルト・ヤコブ病
e.多発性硬化症
<解説>
脳浮腫…グリア細胞内や血管内皮細胞内あるいはその周囲に過剰な水分が貯留した状態。
脳浮腫では、星状膠細胞の膨化,基底膜の肥厚と離解,毛細血管内皮の破綻や飲小胞の増加などが生じるため、血液・脳関門の崩壊をきたす。
81.リンパ性白血病と骨髄性白血病の区別に最も簡便な方法はどれか。
a.ペルオキシダーゼ反応○
b.肝機能検査
c.肝生検による白血病細胞浸潤像
d.肝・脾リンパ節の腫大程度
e.血清蛋白分画
(解説)May-Gimsa染色による形態像とミエロペルオキシダーゼ染色陽性率による形態像によって骨髄性とリンパ性を区別する。急性リンパ性白血病はペルオキシダーゼ陽性率が3%未満。
82.骨髄生検で形質細胞の増殖巣があり、血管増生や線維芽細胞増生,リンパ球、好中球浸潤はない。最も考えられるものはどれか。
a.肉腫転移
b.慢性炎症肉芽
c.骨髄腫○
d.骨髄結核
e.癌転移
<解説>
〜形質細胞の異常増殖〜
@(多発性)骨髄腫…骨髄に腫瘍性の形質細胞の増殖が起こる
頭蓋骨や腸骨などの骨皮質を局所的に融解←打ち抜き像
A形質細胞腫…腫瘍性の形質細胞の増殖が骨髄外性に発生
B形質細胞性白血病…末梢血中に腫瘍細胞が多数出現
83.正しいのはどれか。
a.子宮腺筋症では子宮は縮小する。
b.子宮筋腫は上皮性腫瘍である.
c.子宮頚癌の組織型として腺癌が最も多い.
d.正常妊娠後にくらべ胞状奇胎後の絨毛癌発生は少ない。
e.パピローマウイルス感染は子宮頚癌の発癌因子である。○
<解説>
・子宮腺筋症…子宮内膜組織が子宮筋層内に出現
子宮筋層が肥厚
・子宮筋腫…平滑筋(非上皮性)より発生する良性腫瘍
・子宮頸癌…扁平上皮癌が最も多い。
扁平上皮,円柱上皮境界部に発生しやすい。
・柔毛癌…妊娠に続発することが多い。
胞状奇胎が先行することが一般的であるが、流産や正常分娩後にも生じる。
84.乳腺関連で正しいのはどれか.
a.乳腺症の発生にエストロゲンが関連している。○
b.乳腺線維腺腫は腺増殖のみからなる腫瘍である。
c.管内乳頭腫では腫瘍間質結合組織を認めない。
d.乳癌は血行性転移をおこさない。
e.乳癌の組織型は扁平上皮癌が最も多い。
<解説>
乳腺症の発生にはエストロゲンが関連している。
閉経後、脂肪などで産生されるエストロゲンが増量し、それが癌の発生をプロモーションすると考えられている。
乳癌は、リンパ行性転移を起こしやすいことで有名であるが、血行性転移をおこさないわけではない。
乳癌の組織型は、腺癌が最も多い。
85.原発性糸球体腎炎の組織変化として一次的でないものはどれか。
a.メサンギウム細胞の数の増加
b.糸球体血管基底膜の肥厚
c.近位尿細管上皮の硝子滴変性○
d.半月体形成
e.糸球体での好中球浸潤
<解説>
原発性糸球体腎炎の特徴としては、メサンギウム細胞の増生,メサンギウム基質の拡大,毛細血管係蹄壁の肥厚などがある。
原発性糸球体腎炎の中の半月体形成性糸球体腎炎では、上皮細胞のボウマン嚢内への増生による細胞性半月体の形成がみられる。
86.高齢者で膝関節部分が徐々に腫れてきた。軽い運動痛がある。触診では柔軟で、熱感はない。不適当な考察はどれか。
a.高齢者なので原発性の癌を考えた。○
b.柔軟なので液状物を含むと考えた。
c.強い自発痛を訴えないので変性疾患を考えた。
d.柔らかく、熱感がないので炎症は否定した。
e.発症が徐々なので循環障害性変化は否定した。
<解説>
高齢者では、原発性でなく癌の転移や、骨髄腫の可能性が高い。
該当なし
21.表皮角質層に膿瘍を形成するものはどれか。(病理)
a.蕁麻疹
b.多形滲出性紅斑
c.アナフィラクトイド紫斑
d.尋常性乾癬
e.尋常性天疱瘡
<解答>
a
<解説>
a,蕁麻疹とは膨疹を形成してくる疾患群の総称である。膨疹は真皮上層の限局性、一過性の浮腫によるもの。
b,多形滲出性紅斑・・・手、足、主として四肢伸側に指頭大までの紅斑を生じる。
c,アナフィラクトイド紫斑病・・・記述なし
d,尋常性乾癬・・・角質層の肥厚、増生。角質層下の無菌性小膿瘍(Munro膿瘍)
e,尋常性天疱瘡・・・自己免疫性水疱性疾患で、粘膜上皮層に大小の水疱形成。
22.脂肪肝の肝細胞に蓄積するのは主にどこか。(病理)
a.リン脂質
b.コレステロール
c.中性脂肪
d.糖脂質
e.コリン
<解答>
c
<解説>
カロリーの過剰摂取により肝細胞内に中性脂肪がたまる状態を過栄養性脂肪肝という。
26.脈圧が大きくなるのはどれか。(病理学)
a.心タンポナーデ
b.拡張型心筋症
c.大動脈弁閉鎖不全症
d.僧帽弁狭窄症
e.大動脈弁狭窄症
<解答>
e
<解説>
a,心タンポナーデは心外膜と心臓の間(心膜腔)に血液が入り、心拍動ができない状態のこと。血圧には関係ない。
b,拡張型心筋症は原因不明で、心臓は異常に拡大し、壁はうすくなる。内腔は大きくなるので、血圧は上がらない。
c,大動脈弁閉鎖不全症では左心室は逆流のため容量負荷が生じ拡張性肥大を示す。
d,僧帽弁狭窄症は、大部分はリウマチの後遺症。左房から左室に流入する血液が減少し、左房はうっ滯し圧は上昇する。したがって左室の肥大拡張はなく、左房が拡張する。左房圧の上昇は、肺静脈のうっ滯をきたし肺のうっ血性高血圧が発生し、右室が拡大する。右室が代償できなくなると拡張性肥大となり、大循環系のうっ血をきたす。
e,大動脈弁狭窄症では左室の圧負荷が大きくなり、求心性肥大を呈する。
収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の差を脈圧という。大動脈弁閉鎖不全症では逆流に対抗するために収縮期血圧は高いが、拡張期には血圧が動脈から逆流してきて拡張期血圧は低くなる。したがって脈圧は大きくなる。
27.肺臓で生じない循環障害はどれか。(病理学)
a.貧血性梗塞
b.出血性梗塞
c.充血
d.うっ血
e.塞栓症
<解答>
a
<解説>
肺における循環障害には、肺うっ血、肺水腫、肺出血、肺塞栓症、肺梗塞、肺高血圧症である。また、充血とは臓器内の血液量が増加した状態を言い、動脈系から血液の供給が増加する場合と、静脈系から血液の流出が障害されておこる場合(うっ血とも言う)がある。肺では貧血性梗塞はおこりにくいと考えられる。
28.肝硬変で生じる側副循環と関係ないものはどれか。(病理学)
a.食道静脈瘤
b.腹壁静脈怒張
c.直腸静脈瘤
d.頚静脈怒張
e.脾腫
<解答>
d
<解説>
肝硬変による門脈圧亢進による副血行路として高率に食道静脈瘤が形成されるが、食道静脈瘤の破裂は肝硬変の死因の中で大きな比重を占める。この他、腹壁静脈を側腹血行路とする場合、臍を中心に放射状に腹壁静脈の怒張が見られることがあり、メズサの頭と呼ばれる。また、痔静脈瘤の形成もしばしば見られる。また、肝硬変症の場合、慢性うっ血脾(続発性脾腫の1つ)がおこる。
29.液化壊死の起こりやすい臓器はどれか。(病理学)
a.脳
b.肺
c.心
d.肝
e.腎
<解答>
a
<解説>
融解(液化)壊死は、壊死組織が融解、軟化する状態である。壊死組織に凝固の基になるタンパク含有が少ないか、脂肪組織を最も多く含んでいる場合に、特徴的に生じる。通常では中枢神経の循環障害性壊死(脳軟化症)の際に認められる変化である。脂肪壊死は融解壊死の特殊な形である。脂肪が壊死に陥ると酵素により、水解された脂肪酸が遊離され水に不溶性のセッケンができる。急性膵炎は脂肪壊死が特徴的な病変である。膵臓の破壊によって膵リパーゼが滲出し脂肪を水解するためである。
31.子宮筋層で認められた病変の組織像を示す。(病理学)
適切なのはどれか。
a.浸潤性がある。
b.リンパ行性転移の可能性がある。
c.血行性転移の可能性がある。
d.核異型が著しい。
e.非上皮性腫瘍である。
<解答>
e
<解説>
×4の図より被膜の存在確認→良性、境界明瞭、浸潤性なし
×20の図より上皮性腫瘍ではないことがわかる→非上皮性腫瘍
リンパ行性や血行性転移は、組織像からは分からない。
45.遅延型過敏症に分類される疾病はどれか。(病理学)
a.気管支喘息
b.ペニシリンショック
c.血清療法後の血清病
d.接触性皮膚炎
e.花粉症
<解答>
d
<解説>
〜アレルギーの分類〜
T型(アナフィラキシー型)・・・マストcellに抗原が付着しておきる。気管支喘息、 ペニシリンショック、花粉などのアレルギー性鼻炎
U型(細胞障害型)・・・ABO型不適合輸血による溶血性貧血、自己免疫疾患
V型(免疫複合体型)・・・血清病、生物製剤、化学薬品などによってもおこる。
W型(遅延型)・・・結核、真菌、ウイルス感染症、移植免疫反応、接触性皮膚炎
X型(刺激型)・・・バセドウ病
平成15年度前半
問題6、ハートナップ病にみられる輸送障害されるのはどれか。(病理学)
a、ロイシン
b、トリプトファン
c、チロシン
d、シトルリン
e、アルギニン
<解答>
b
<解説>
ハートナップ病:常染色体劣性遺伝。トリプトファンの吸収障害によって生じる。
※トリプトファンは必須アミノ酸で、脳においてセロトニン生成に関与する。
問題7、心肥大の原因として正しいのはどれか。(病理学)
a、左室内圧の上昇
b、大動脈弁逆流
c、肺高血圧
d、先天異常
e、心筋炎
<解答>
b
<解説>
心肥大は主として心室の肥大であるが、その形態によって拡張性肥大と求心性肥大がある。体循環と関連する肥大では左心室肥大となり、肺循環と関連する肥大では右心室肥大が生じ、特に肺性心と呼ぶ。
@拡張性心肥大…心臓を通過する血液量が増大することによって生じる内腔の拡大を特徴とする。動静脈のシャントがある場合,貧血,スポーツ心,弁の逆流 (閉鎖不全)がある場合などにみられる。
A求心性心肥大…心臓から流出した後の血流が普通よりも高い抵抗を受けた場合に生じる心室壁の肥厚と内腔の非拡大を特徴とする。高血圧,大動脈弁狭窄症などにみられる。
問題9、良性腫瘍の特徴はどれか。(病理学)
a、浸潤性発育
b、著しい組織破壊
c、転移しやすい
d、再発しやすい
e、軽度異型
<解答>
e
<解説>
|
良性腫瘍 |
悪性腫瘍 |
境界 |
明瞭(被膜あり) |
不明瞭 |
生育 |
遅い |
速い |
転移 |
なし |
あり |
浸潤 |
なし |
容易に浸潤 |
再発 |
摘出後再発なし |
再発傾向あり |
組織破壊 |
圧迫するが破壊はしない |
周囲組織を破壊 |
異型度 |
定型的,高度分化 |
異型,多型 |
このなかでは、典型的な良性腫瘍の特徴と言い切れるものはないと思うがあえて選べば(e)軽度異型が良性腫瘍の特徴になりうる。
問題15、59歳の男性が急性心筋梗塞で死亡した。心筋に見られる変化はどれか。(病理学)
a、凝固壊死
b、液化壊死
c、乾酪壊死
d、脂肪壊死
e、フィブリノイド壊死
<解答>
a
<解説>
〜壊死の種類と例〜
・凝固壊死…心筋壊死
・液化壊死…脳梗塞,膿瘍
・乾酪壊死…結核,アレルギー
・脂肪壊死…慢性膵炎,外傷,中毒
・フィブリノイド壊死…腎硬化症,リウマチ
問題29、常に出血性梗塞となるのはどれか。(病理学)
a、脳梗塞
b、心筋梗塞
c、肺梗塞
d、腎梗塞
e、脾梗塞
<解答>
c
<解説>
梗塞は外観から二種類に分類される。
・貧血性(白色)梗塞…充実性の組織、臓器に動脈性の閉塞が起こったときに出現する。 心筋,腎臓,脾臓など血管支配が単一なものに起こりやすい。
・出血性(赤色)梗塞…軟らかい非充実性の組織・器官に起こる。代表的なのは肺でその他、腸や卵巣・精巣に起こりやすい。
また、脳は貧血性梗塞が基本であるが一度閉塞した血栓が流れて、その部位に血液が最流入した場合出血性梗塞になる。
問題30、52歳の女性。頸部リンパ節腫大にて切除されたリンパ節の組織像を示す。(病理学)
正しいのはどれか。
a、急性リンパ節炎
b、ホジキン病
c、濾胞性悪性リンパ腫
d、腺癌転移
e、骨肉腫転移
<解答>
d
<解説>
問題36、弱毒ポリオウイルス生ワクチンによる免疫で最も重要な器官・組織はどれか。
a、腋下リンパ節
b、扁桃
c、胸腺
d、小腸のパイエル板
e、骨髓
<解答>
d
<解説>
〜ワクチンの分類〜
・生ワクチン…生きた病原体の毒性を弱めたもの。副作用が強め。ポリオ、麻疹、BCGなど。
・不活性化ワクチン…死んだ病原体から免疫に必要な部分だけをとりだしたもの。百日せき、日本脳炎など。
・トキソイド…細菌の作った毒素から毒性をなくしたもの。ジフテリア、破傷風など。
問題46、55歳の男性。自然尿からえられた尿細胞診でみられた細胞像を示す。(病理学)
正しいのはどれか
a、慢性膀胱炎
b、慢性腎炎
c、前立腺炎
d、腎細胞癌
e、膀胱移行上皮癌
<解答>
e
<解説>
異型が強く、塊状になっていることから(e)膀胱移行上皮癌と考える。
問題17、肺の腫瘍を組織学的に検索したところ、図のような腫瘍で、転移性と考えられた。(病理学)
原発巣として最も考えられる臓器はどれか。
a、虫垂
b、膵臓
c、胃
d、乳腺
e、腎臓
(解答)正解はe。写真は細胞質が淡明な異型細胞が胞巣状に増殖しているのが見える。これは淡明細胞癌であり、悪性の腎実質の上皮性腫瘍に分類される。おそらく、近位尿細管上皮由来であると考えられている。
問題29、パーキンソン病の特徴的組織変化はどれか。(病理学)
a、神経原線維変化
b、老人斑
c、レビー小体
d、ブニナ小体
e、ピック小体
(解答)正解はc。パーキンソン病に特徴的な所見として、黒質緻密層、青斑核のメラニン含有神経細胞の変性と、残存神経細胞内にLewy小体が出現することである。黒質緻密層がやられるので、上行性の神経伝達不全であり、治療の際にDOPAを投与することもある。下降性のときに使われる神経伝達物質はGABA。
a,bはアルツハイマー病、dはALS(筋萎縮性側索硬化症)、eはPick病に特徴的な所見である。
問題32、ワイル病の原因はどれか。(病理学→細菌学)
a、トレポネーマ
b、リケッチア
c、レプトスピラ
d、クラミジア
e、ボレリア
(解答)正解はc。黄疸出血性レプトスピラともいう。この病気の三主徴は蛋白尿、黄疸、出血であるが、黄疸、出血は重症例でないと見られない。3〜14日の潜伏期の後に発病する。
問題38、70歳の男性。肝臓の組織標本を示す。(病理学)
診断名として正しいのはどれか。
a、肝細胞癌
b、慢性肝炎
c、急性肝炎
d、アルコール性肝炎
e、肝硬変
(解答)正解はe。写真を見ると、小葉構造の改築が見られ、線維化や結節状再生から偽小葉が形成されている。再生結節(偽小葉)は正常肝の小葉や腺房のような、組織されたゾーン構造をとらない。血液は結節をでたらめに灌流するので、肝としての効率が低下し、機能不全に陥りやすい。
問50 出血性梗塞を起こしやすい臓器はどれか。 (病理)
a. 心臓
b. 肺
c. 腎
d. 脾
e. 副腎
(解答)正解はb。心、腎、脾、脳の梗塞は貧血性梗塞である。この場合、梗塞部と正常境界部には周囲から血液が流れ込み、逆に赤く充血性となり境界が強調される。吻合が多い臓器や血管の二重支配がある臓器(腸や肺)では梗塞が起こりにくいが、このような臓器で、ある特殊な状況下で梗塞が起こると梗塞部は暗赤色の出血性となり、出血性梗塞、あるいは赤色梗塞と呼ばれる。(わかりやすい病理学 p27)
問1 肉芽組織の主成分となるのはどれか。(病理)
a. マクロファージ
b. 脂肪細胞
c. 平滑筋細胞
d. 腺上皮細胞
e. 扁平上皮細胞
(解答)正解はa。肉芽組織は、組織学的には、毛細血管に富む幼若な結合組織であり、毛細血管、線維芽細胞および筋線維芽細胞からなり、ほかに遊走細胞(白血球と食細胞)や細胞間線維(好銀線維と膠原線維)を混ずる。筋線維芽細胞とは線維芽細胞と平滑筋細胞の中間的形態と収縮能を有し、線維芽細胞に移行できる細胞である。
問2 良性非上皮性腫瘍はどれか。 (病理)
a. 腺腫
b. 平滑筋腫
c. 多発性骨髄腫
d. 神経芽腫
e. Wilms腫瘍
(解答)正解はb。
腺腫…良性上皮性腫瘍
多発性骨髄腫…悪性非上皮性腫瘍
神経芽腫…悪性非上皮性腫瘍
Wilms腫瘍…悪性混合腫瘍
(わかりやすい病理学 p90あたり)
問3 悪性腫瘍の特徴的所見はどれか。(病理)
a. 分化度が高い。
b. 発育が遅い。
c. 著明な壊死
d. 膨張性発育
e. 異型が弱い。
(解答)正解はc? 悪性腫瘍は分化度が低く、発育が遅いのは良性腫瘍である。著名な壊死はなく、膨張性発育は良性腫瘍で普通に見られる。悪性腫瘍の異型は強い。よって、消去法でcを選びました。
問29 蛋白尿の時に見られる尿細管上皮の変化はどれか。 (病理)
a. 硝子滴変性
b. ラッセル小体
c. 粘液変性
d. アミロイド変性
e. フィブリノイド変性
(解答)正解はa。細胞質内に硝子様の球状物がたまった状態をいう。高度の蛋白尿が認められるネフローゼ症候群の腎尿細管上皮によく見られる変化で、再吸収された蛋白が細胞質内に貯留したものである。ラッセル小体は形質細胞によって産生される細胞内外の免疫グロブリンのことである。粘液変性は粘液が見られるのが特徴的で、この粘液の主成分はムコ多糖であり、胃印環細胞癌などが代表的である。アミロイド変性はアミロイドと呼ばれる線維蛋白が細胞間に沈着したもので、アミロイドは正常組織には認められない。フィブリノイド変性は線維素を含んだ血漿細分が血管壁に沈着し、膠原線維の変性も加わった病変で血管壁の壊死を認めることが多く、類線維素壊死とも呼ばれる。
問30 癌遺伝子でないのはどれか。 (病理)
a .sis
b. src
c. myc
d. fos
e. p53
(解答)正解はe。a,b,c,dはそれぞれ癌遺伝子ある。p53は細胞周期の調節タンパク質である。
問31 良性腫瘍の特徴はどれか。 (病理)
a. 高度異型
b. 高分化
c. 多形性著明
d. 浸潤性増殖
e. 予後不良
(解答)正解はb。良性腫瘍は異型性は低く、多形性は著名でない。増殖は浸潤性でなく拡大性であり、予後はたいてい良好である。
問32 アポトーシスの特徴でないのはどれか。 (病理)
a. 核クロマチン凝集
b. 核の断片化
c. ミトコンドリア膨化
d. 細胞の大きさ縮少
e. DNAラダー
(解答)正解はc。アポトーシスではミトコンドリアなどの細胞小器官の変化は乏しく、核の変化が特徴的である。まず、細胞が縮小し、核辺縁にクロマチンが凝縮し、やがて核は断片化してアポトーシス小体を形成する。この小体はマクロファージに貪食されて完全に処理されるため、炎症反応は起こらない。また、アポトーシスの特徴として、染色体DNAが約200bp程度の長さの倍数に断片化し、DNAの電気泳動にてDNAラダーと呼ばれるハシゴ状のDNA断片が見られる。
問33 64歳の男性。結腸癌の手術歴があり今回、転移性肺癌の臨床診断のもと右下葉切除された。病理組織像(別冊No.2)を別に示す。(病理)
正しいのはどれか。
a. 転移性肺癌
b. 原発性肺癌
c. 原発性肺扁平上皮癌
d. 肺結核症
e. 肺サルコイドーシス
写真がないのでパスします…
問34 31歳男性。4ヶ月前から続く右下腹部痛にて来院し、各種検査後回盲部に腫瘤が見つけられ、回盲部切除術がなされた。その回盲部の病理組織像(別冊No.3)を別に示す。(病理)
正しいのはどれか。
a. 管状腺腫
b. 高分化腺癌
c. 低分化腺癌
d. 低分化扁平上皮癌
e. 悪性リンパ腫
写真がないのでパス
問35 43歳の女性。右頬部皮膚の直径0.7cmの隆起性病変に気付き、来院時に生検がなされた。その組織像(別冊No.4)を別に示す。(病理)
適切なのはどれか。
a. 脂腺母斑
b. 色素性母斑
c. 悪性黒色腫
d. 有棘細胞癌
e. 基底細胞癌
写真がないので…
問40 動脈硬化症における泡沫細胞の起源として正しいのはどれか。(病理)
a. 増殖型平滑筋細胞
b. 収縮型平滑筋細胞
c. 線維芽細胞
d. マクロファージ
e. Tリンパ球
(解答)正解はd。泡沫細胞とは脂質を大量に貪食したマクロファージのことである。これは粥状硬化症の最初に現れる変化、大動脈弓部に生じる黄色調の小隆起(肥厚した内膜)に認められる。
問41 悪性腫瘍の特徴について誤っているのはどれか。 (病理)
a. 浸潤性に発育する。
b. 分化度が低いほど悪性度も低い。
c. 異型度が高いほど悪性度も高い。
d. 血管やリンパ管に侵入することが多い。
e. それぞれに特有の腫瘍マーカーが存在する。
(解答)正解はb。悪性腫瘍の特徴として、分化度が低いことがあげられる。当然、分化度が低ければ、それだけ悪性度も低い。リンパ行性の転移としてウィルヒョウ転移が有名である。問3にも同じような問題があるのは気のせいでしょうか…
問42 虚血について正しいのはどれか。 (病理)
a. 虚血とは赤血球の減少した状態である。
b. 虚血の際には局所の温度が上昇する。
c. 虚血によって生じる重篤な病変は梗塞である。
d. 虚血の原因として最も重要なのは血栓である。
e. 肝臓は最も虚血の影響を受けやすい臓器である。
(解答)正解はc,d,eのどれか(分かりません…)虚血とは、局所に流入する動脈血が減少した状態である。局所の組織は血液量の減少のため蒼白となる。よって、血液がこないので局所の温度は低下する。虚血の程度が強いと、組織は壊死に陥り、心筋梗塞や脳梗塞を起こす。虚血の原因としては、器質的な狭窄、動脈の攣縮のような機能的狭窄や血栓や塞栓などがある。また、虚血の影響で、細胞や組織の萎縮や繊維化が起こり、肝臓・脾臓などでは容積が減少する。
問43 循環障害と疾患の組合わせとして正しいのはどれか。 (病理)
a. 虚血…解離性大動脈瘤
b. 充血…太田母斑
c. うっ血…下肢静脈瘤
d. ショック…第一度熱傷
e. 出血…心筋梗塞
(解答)正解はc。正しい組み合わせは次の通り。
虚血…心筋梗塞
出血…解離性大動脈瘤
色素沈着…太田母斑
ショック…重度の熱傷
問45 閉塞性換気障害を来たす疾患はどれか。 (病理)
a. 気管支肺炎
b. 肺小細胞癌
c. 肺線維症
d. 栗粒結核
e. 肺気腫
(解答)正解はe。閉塞性呼吸障害は主に肺からの呼気が妨げられるための換気障害である。臨床的には慢性的な閉塞障害を伴う次の2種類の疾患が重要で、これらを慢性閉塞性肺疾患と総称する。その二つとは、慢性気管支炎・慢性細気管支炎、そして肺気腫である。
問47 生理的な状態でも起こりうるのはどれか。 (病理)
a. 凝固壊死
b. 液化壊死
c. アポトーシス
d. ミイラ化
e. 壊疽
(解答)正解はc。生体内で起こった組織の部分的な死を壊死という。壊死は退行性病変のひとつであり、これは種々の障害により組織が被害を受けた状態で、他に萎縮や変性がある。壊死は凝固壊死と液化壊死(融解壊死)に大別されるが、壊死組織が二次的な変化を受けると壊疽と呼ばれる状態になる。乾燥すると乾性壊疽(ミイラ化)、腐敗菌が感染して壊死組織が腐敗すると湿性壊疽といい、ガス賛成菌が感染するとガス壊疽となる。アポトーシスは常に生理的再生を繰り返している粘膜などで、個々の細胞に起こる細胞死のことである。
問48 喀血の場合、出血した部位はどれか。 (病理)
a. 鼻腔
b. 口腔
c. 気管支
d. 食道
e. 胃
(解答)正解はc。喀血は咳に伴って喀出されるもので、一方で吐血は吐気があり、嘔吐によって排出される。よって、喀血は気道を通り、吐血は食道を通るものである。
問49 梗塞部位が軟化し、やがて嚢胞化しやすい臓器はどれか。 (病理)
a. 脳
b. 心臓
c. 脾臓
d. 腎臓
e. 前立腺
(解答)正解はa。脳梗塞の梗塞部は蒼白でやわらかい病巣となり、やがて浮腫と軟化により、強く腫脹する。塞栓が溶解して血流が再開されると、梗塞部に出血が起こる。これは出血性梗塞と呼ばれる。数日以上経過すると壊死組織は融解・吸収され、梗塞巣の中心部が嚢状の物質欠損となる。
問50 肉芽腫を作るのはどれか。 (病理)
a. 梅毒
b. 白血病
c. 骨粗鬆症
d. 骨肉腫
e. 心筋症
(解答)正解はa。梅毒トレポネーマに感染して約3年後の第3期顕性梅毒(臓器梅毒)として肝、精巣、大動脈や皮膚などにゴム腫ができる。このゴム腫は肉芽腫炎の一つである。肉芽腫の線維化・瘢痕化により、触診するとゴムのような弾性と硬度をもつ。
問48 発ガンに関係しないのはどれか。
a.ヒトパピローマウイルス(HPV)
b.EBウイルス(EBV)
c.A型肝炎ウイルス(HAV)
d.B型肝炎ウイルス(HBV)
e.ヒトT細胞向性ウイルス1型(HTLV一1)
<解答>
c
<解説>
a.ヒトパピローマウイルスは、皮膚癌や子宮頸癌の発症に関係している。
☆ヒトパピローマウイルス(HPV)
・上皮細胞に感染,乳頭腫様増殖を起こさせる(疣の原因ウイルス)
・皮膚型と粘膜型がある
・接触感染,性行為で移る
・初期タンパクが癌抑制遺伝子を抑制→腫瘍原性に関与
・腫瘍性の病変である(疣,EV症(皮疹→皮膚癌に),コンジローマ,子宮頸癌)
b.EBウイルスは、バーキットリンパ腫や日和見リンパ腫,上咽頭癌や胃癌の発症に関係している。
☆EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)
・唾液を介して感染
・B細胞に感染→T細胞やNK細胞にも感染
・安定な潜伏感染はB細胞のみ。
…バーキットリンパ腫,ホジキン病,日和見リンパ腫など
・伝染性単核症…幼少児期の初感染は大半が不顕性感染
肝機能障害や異型リンパ球の出現
・伴性劣性遺伝リンパ球増多症候群,慢性活動性EBウイルス感染症,EBウイルス関連血球貪食症候群,毛髪状白斑症になることも。
※EBV関連増殖性疾患(腫瘍)<癌と関連>
・バーキットリンパ腫…アフリカの小児に好発する顔部にみられるリンパ腫
・上咽頭癌…後鼻腔に好発するリンパ上皮腫
・日和見リンパ腫…移植患者やエイズ患者で起こる
・胃癌やNK/NKTリンパ腫,ホジキン病など
c.A型肝炎ウイルスは、発ガンに関係していない。
☆A型肝炎ウイルス(HAV)(ピコルナウイルス科…エンテロウイルスとか)
・酸に安定,胆汁酸に抵抗性→胃腸に感染
・便口経路によって感染
・慢性にはならない
d.B型肝炎ウイルスは、肝臓癌の発症に関係している。
☆B型肝炎ウイルス(ヘパドナウイルス科)※血液
・HBs抗原…エンベロープ抗原,感染防御抗原
・HBc抗原…コア抗原
・HBe抗原…感染性ビリオンの存在と密接に相関するため、血液の感染性の良い指標となる
・多くは不顕性だが、一部は急性B型肝炎となり、まれに感染後劇症肝炎になり死亡
・免疫能不十分→持続感染→無症候性キャリアに
・慢性化すると、慢性肝炎→肝硬変→原発性肝癌
・TORCH症候群のひとつ
e.ヒトT細胞向性ウイルス1型は、成人T細胞白血病の発症に関係している。
※白血病は、造血組織の悪性腫瘍の一種である。
☆ヒトリンパ球向性ウイルス(HTLV)‐1,2
・成人T細胞白血病←腫瘍細胞は花弁状の特異な分様核を示す
※HTLV-1
・T細胞に感染して、増殖を誘導する
・成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスである
・感染者…末梢血細胞でのプロウイルスの組み込み,ウイルス特異な抗体産生が見られ る
・感染経路…母乳,精液,薬物乱用や輸血
・HAM…HTLV-1キャリアに起こる、HTLV-1関連脊椎症
問12 細胞診について正しいのはどれか。
a.剥離細胞の異型度を見るものである。
b.悪性腫瘍の進行度を見るものである。
c.ウイルス感染の有無を見るものである。
d.血液中の異型細胞の有無を見るものである。
e.悪性腫瘍の分化度を見るものである。
<解答>
a
<解説>
細胞診とは、本来は病理検査の中でも補助的診断として位置づけられている。
細胞診には、剥離細胞診と穿刺吸引細胞診がある。
・剥離細胞診…病変の外表を擦過したり、貯留している液状物を鏡検するものである。
変性が加わっている可能性が高いが、細胞の形状と細胞相互の接合状態などから、病変の有無や病変が悪性か否かを判定する。(異型性を基準)
例)パパニコロウ分類
・穿刺吸引細胞診…生体の一部を構成している細胞を直接採取するので、細胞の変性は泣く、形もとどめている。
※細胞診は、元来は病変,特に癌の有無のチェックの手段として広まった。
←標本作製が容易で、時間も短く、比較的安価なため、集団検診に用いられる。
a.剥離細胞の異型度によって判定される。
b.悪性細胞が見つかっても、その広がりや進行度(深達度)の判定が困難である。
c.ウイルス感染の有無ではなく病変の有無などを判定する。
d.血液中の異型細胞の有無を見るのは、細胞診ではなく組織診である。
e.悪性腫瘍であるか否かはわかるが、分化度まではわからない。
(答え微妙かもしれないです。。。)
問13 77歳の男性。骨折部を生検したところ、小型の異型細胞が認められた。電顕的にこの細胞には神経内分泌顆粒様の構造が認められた。正しいのはどれか。
a.肺癌の転移が考えられる。
b.骨肉腫が考えられる。
c.悪性リンパ腫の転移が考えられる。
d.前立腺癌の転移が考えられる。
e.骨芽細胞の反応性増生が考えられる。
<解答>
a
<解説>
小型の異型細胞…低分化型癌の形状
電顕的に神経内分泌顆粒様の構造が認められる…神経内分泌癌の特徴
a.神経内分泌癌は小細胞癌の一種である。小細胞癌は主に肺癌にみられるため、肺癌の 骨転移が考えられる。
b.骨肉腫は、骨組織に原発するもので、未分化で異型の強い悪性腫瘍細胞と、それによる 未熟な腫瘍性類骨形成が特徴である。
c.悪性リンパ腫の転移における特徴は、小型円形細胞が密に増殖すること,腫瘍細胞間に 好銀線維(膠原線維)が認められることである。
d.前立腺癌は腺癌である。
前立腺癌の血行性転移としては、骨転移が最も高頻度である。
前立腺癌の骨転移は、骨芽細胞を刺激して骨を作らせることが多い。
e.骨芽細胞は類骨を産生する細胞である。神経内分泌癌と骨芽細胞の反応性増生は関連が ない。
問14 53歳の男性。軽度の肝機能障害が見られる。生検により肝細胞に好酸性の硝子様物質が認められた。正しいのはどれか。
a.肝細胞のアポトーシス
b.急性ウイルス性肝炎
c.毛細胆管の閉塞
d.脂肪変性
e.アルコール性肝炎
<解答>
e
<解説>
肝細胞に認められた好酸性の硝子様物質はマロリー小体であり、肝細胞の脂肪化と共にアルコール性肝炎と肝細胞癌の初期に特徴的なものである。
b.急性ウイルス性肝炎の特徴は、変質性炎であって炎症がほとんど起こっていないことである。よって好中球浸潤は見られず、代わりにリンパ球浸潤が見られる。
(画像が微妙で答えがよくわかりません。)
問15 歯根部に生じた嚢胞壁の組織像を別に示す。(別冊写真2-2)
適切なのはどれか。
a.良性上皮性腫瘍
b.悪性上皮性腫瘍
c.悪性非上皮性腫瘍
d.急性炎症性病変
e.慢性炎症性病変
<解説>
〜見分けかた〜
・良性or悪性…異型核,異型細胞が多ければ悪性と考える。良性では、正常細胞が異常に増殖している感じ。
・炎症性病変…炎症細胞の浸潤が特徴である。
急性炎症では好中球が、慢性炎症ではリンパ球が主に浸潤する。
好中球は分葉核が特徴である。
・上皮性or非上皮性…上皮性のものは接着因子を持つため胞巣を作るが、非上皮性のものは作らない。
問16 静脈性塞栓症を起こしやすい臓器はどれか。
a.脳
b.心
C.腎
d.脾
e.肺
<解答>
e
<解説>
静脈は、血流のうっ帯を生じると血栓が生じやすい。特に下肢静脈に起こりやすい。血栓が剥離すると、血栓塞栓となり肺動脈血栓塞栓症を起こす。
問17 悪性腫瘍の特徴はどれか。
a.生命予後がよい。
b.転移しない。
C.緩徐な発育である。
d.増生する細胞の核細胞質比が低い。
e.増生する細胞に核の多型性がみられる。
<解答>
e
<解説>
a.悪性腫瘍は、予後が不良なのが特徴である。
b.良性腫瘍と悪性腫瘍の大きな違いは、転移の有無である。
悪性腫瘍は転移する。
c. 緩徐な発育であるのは良性腫瘍である。
d.増生する細胞の核細胞質比は高いのが特徴である。
つまり、細胞質に対して核が大きくなる。
問18 血栓の転帰として考えられないのはどれか。
a.融解
b.器質化
C.再疎通
d.癌化
e.塞栓化
<解答>
d
<解説>
〜血栓の転帰〜
@ 血栓がどんどん大きくなり、血管をより強く閉塞する。
A 血栓中の血液細胞は破壊され、血栓はタンパク分解酵素の働きで軟化し、断片あるいは剥離した一部は流血中に遊離し塞栓となる。
B 線溶系の活性化により跡形もなく消失する。
C 血栓の器質化が起こり、再疎通が起こる。
問20 痔核の本態はどれか。
a.静脈瘤
b.直腸炎
C.過形成ポリープ
d.憩室
e.イレウス
<解答>
a
<解説>
痔核の本体は静脈瘤である。
下腸間膜と上直腸静脈は肛門管周囲の痔静脈叢と交通している。
門脈圧が亢進すると門脈血はこの静脈叢や内陰部神経を通じて下大静脈へ還流し、このときに痔核の形成もみられ、出血を起こす。
問21 膵癌で多いのはどれか。
a.扁平上皮癌
b.腺扁平上皮癌
C.腺癌
d.未分化癌
e.濾胞癌
<解答>
C
<解説>
膵癌で多いのは、膵管上皮(腺上皮)由来の腺癌である。
膵癌は、膵頭部癌が最も多く、肉眼的には結節型が多い。
問22 胃内視鏡検査で粘膜のびらんと不整を示す部分があり、生検を行った。組織像(H-E染色)を別にしめす。(別冊写真2-3)診断はどれか。
a.慢性胃炎
b.慢性胃潰瘍
c.胃アニサキス症
d.胃癌
e.胃悪性リンパ腫
<解答>
d
<解説>
印環細胞がみられるため、印環細胞癌であることがわかる。
問23 急性心筋梗塞で入院加療中、第6病日に急変し、死亡した。剖検時の心臓横断面写真を別に示す。(別冊写真2-4)この写真から推測できる直接死困はどれか。
a.肺うっ血水腫
b.心室瘤
c.心タンポナーデ
d.僧帽弁逆流
e.不整脈
<解答>
a
<解説>
a.肺うっ血水腫は、左心不全によって起こる。
c.心タンポナーデは、心嚢腔内に血液などが溜まることによって心機能が著しく障害される。
d.僧帽弁逆流症は、リウマチ性心内膜炎の後遺症で生じる。腱索の短縮などによって弁の閉鎖が不完全になる。
e.心内膜に壁内血栓が生じることによって不整脈になる。この血栓がとぶと、脳梗塞になる。
問24 循環器ならびに血液の障害とその病態についての組合せで正しいのはどれか。
a.左心不全・・・・…うっ血性肝硬変
b.肺梗塞・・・・・…貧血性梗塞
c.心筋梗塞・・・・…出血性梗塞
d.溶血性貧血・・・…脳出血
e.敗血症・・・・・…播種性血管内凝固症候群
<解答>
e
<解説>
a.左心不全により、肺うっ血が生じる。
b.肺梗塞では、肺は複数の血管で栄養されているので、出血性梗塞を生じる。
c.心筋は冠状動脈のみで栄養されているため、心筋梗塞は貧血性梗塞である。
d.溶血性貧血と脳出血はあまり関係がない。
e.敗血症は、DIC(播種性血管内凝固症候群)を伴うことが多い。
問25 変性・細胞障害に関して正しいのはどれか。
a.フィブリノイド変性は炎症で著明に認められる。
b胃癌の印環細胞癌は粘液変性の1例である。
c.アルコール性肝炎で肝細胞にみられるマロリー小体は脂肪変性の1例である。
d.心アミロイドーシスは冠状動脈の虚血と関連がある。
e.痛風の主たる原因は膠原病である。
<解答>
b
<解説>
b.印鑑細胞癌では、細胞内に粘液が貯留し、核が一側に押し付けられている。
c.アルコール性肝炎に特徴的なのは、脂肪変性と好酸性のマロリー小体の出現であるが、 マロリー小体は脂肪変性の1例ではない。
d.心アミロイドーシスでは、通常心肥大を伴う。
e.痛風は、体内に溜まった尿酸が関節に沈着することによっておこる。
問26 代謝障害について正しいのはどれか.
a.閉塞性黄疸では血液中に間接ビリルビンの増加がみられる。
b.ヘモクロマトーシスでは光度の色素沈着があるが臓器障害は伴わない。
c.動脈粥状硬化では脆質沈着は主として内膜にみられる。
d.糖尿病は膵ランゲルハンス島のA細胞の異常によって引き起こされる。
e.痛風は組織中への酸性ムコ多糖類の異常増加が原因となる。
<解答>
c
<解説>
a.閉塞性黄疸では、血液中に直接ビリルビンの増加がみられる。
b.ヘモクロマトーシスは、先天的または後天的な原因によって、体内貯蔵鉄が異常に増加し、肝臓,膵臓,心臓,皮膚,関節,下垂体,精巣などの諸臓器の実質細胞に過剰に沈着し、その結果それぞれの臓器の実質細胞障害をもたらす病気である。
鉄が主として網内系組織に蓄積し、実質細胞への蓄積が少ないために臓器障害や機能障害を伴わない状態をヘモジデローシスという。
c. 動脈粥状硬化では脆質沈着は主として内膜にみられる。
d.糖尿病は、膵ランゲルハンス島のA細胞ではなくβ細胞の異常によって引き起こされる。
e.痛風は、組織中への尿酸の異常増加が原因となる。
問27 可能性が低いと考えられる組合せはどれか。
a.家族性大腸ポリポーシス…大腸癌
b.ヒトパピローマウイルス・…子宮頚癌
C.癌抑制遺伝子異常・・・…胃癌
d.喫煙・・・・・・・・・…肺癌
e.アスベスト・・・・・…皮膚癌
<解答>
c
<解説>
a.家族性大腸ポリポーシスは、大腸癌に発展する可能性が高い。
b.ヒトパピローマウイルスは、皮膚癌・子宮頸癌に発展する可能性が高い。
c.癌抑制遺伝子異常により、癌の発生率は高くなるが、胃癌に限定はされない。
d.喫煙によって、肺癌になる可能性はあがる。
e.アスベストにより、中皮腫が生じやすい。(上気道感染)
問28 代謝に関して誤っているのはどれか。
a.糖原病では主にグリコーゲンの分解に関する酵素の先天的欠損が多くみられる。
b.2型糖尿病ではランゲルハンス島にアミロイドか沈着しB細胞が減少している。
c.アミロイドーシスではコンゴ赤染色後に偏光顕微鏡でみると緑色の複屈折を示す
d.痛風では関節や軟骨,皮膚,腎臓などの組織内に尿酸結晶の沈着がみられる。
e.慢性右心不全の患者では初期から肝小葉にびまん性の脂肪沈着を来たす。
<解答>
b
<解説>
a.糖原病は、グリコーゲンの合成や分解に関係する酵素に先天的欠損があり、グリコーゲンが異常に肝や筋肉に蓄積する稀な疾患である。
b.
c.アミロイドーシスをコンゴ赤染色すると、偏光顕微鏡下で緑色を呈する。
d.痛風では、関節や軟骨,皮膚,腎臓などの組織内に尿酸結晶の沈着がみられる。
e.右心不全では右心に還流する体循環にうっ血が起こる。肺以外の全身臓器がうっ血し、同時に浮腫が起こる。肝では小葉中心静脈を中心に類洞が拡張,血液が停滞する。酸素不足により中心静脈周辺の肝細胞に脂肪変性がみられる。
慢性右心不全では、肝の割面は暗赤色と黄色が入り混じってナツメグ(ニクズク)様となり、慢性肝うっ血の肉眼所見をニクズク肝という。
問45 遅延型過敏症に分類される疾病はどれか。
a.気管支喘息
b.ペニシリンショック
c.血清病
d.接触性皮膚炎
e.花粉症
<解答>
d
<解説>
W型アレルギーで、主にT細胞が働く免疫のことを遅延型過敏症とよぶ。細胞性免疫とも呼ばれる。
肺結核での空洞形成,ツベルクリン反応,接触性皮膚炎,各種臓器移植片の拒絶,インスリン依存型糖尿病などが含まれており、通常他の型のアレルギー反応も同時に関与している。
a.気管支喘息やアレルギー性鼻炎,アナフィラキシーショックはT型アレルギーである。
b.ペニシリンショックもT型アレルギーの一種である。
c.血清病やSLE(全身性エリテマトーデス)や急性糸球体腎炎,関節リウマチなどはV型アレルギーの一種である。
e.花粉症もT型アレルギーの一種である。